柿木坂の住宅 / NAP / ★★★

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都立大学の閑静な住宅地に位置する延床面積1000平米以上、総工費10億円以上の大豪邸。周囲からのセキュリティ確保の中庭を採用するために、L字型のボリューム配置。ガラスブロックの組積造で2階部分のファサードを囲い、視界を遮りながら、光を内部に取り込む。外壁はオリジナルタイルとし、内部まで連続する。

・1.2エントランスの天井には水盤の水面からの光の反射が現れる。NAP建築の自然の現象を建築に取り込む操作を行っている。非常に心地よい。このような操作は今後してみたい。

・収納は全て隠し扉のようになっており、壁との区別がつきづらいディテールになっている。ドアノブはSUSで作られる。

・施主要望よりペンダントライトはシャンデリアになっており、それに合うように、壁はモールディングになっている。

・床・壁は白系で統一しており、天井は木の垂木+間は天井を貼っている。垂木はモールディングに呼応するように、リブ状になっている。モールディングは2つのモールディングを重ねられている。

・LUTRONのスイッチは小さくてかわいい。PanaspnicとJimboしかボキャブラリーがなかったので、新しい発見だ。

・タイルは曲面にも使えるとのこと。タイルを曲げた状態で固めるらしい。テラスの床のタイルを900角程度に分けており、その間から水を下に落とすみたい。

・2次曲面の天井は下地を作らずに曲げ加工が可能なボードを軽量鉄骨から吊るとのこと。

・外部階段はRibbonChapelと同じ素材を使用。

・鏡はテレビが映る設え。

・空調は床と壁から。

・サッシは耐風窓並みに太かった。意図的ではないとのこと。

 

40代後半で今まで豪邸の設計も幾つもこなしているNAPだけあって、今まで採用していたデザイン言語が思想となって現れているように感じる。ガラスブロックや建具ディテールなど〇〇邸と同じ仕様というのが多い。その源流はOpticalGrassHouseなので、井川さんの貢献度の高さが分かる。一方でNAP建築を沢山見てきた身としては、素材を変えるなどの変化はあるものの既視感は感じざるを得ない。空間の質としての新しさは感じられない。初めて目の当たりにした成城邸ほどの感動はない。後、自分の視点も施工寄りになった気がする。

 

所在地:目黒区柿の木坂

設計者HP:https://www.nakam.info/jp/

竣工年:2020

プログラム:住宅

構造様式:鉄骨造