紫雲山 瑞聖寺庫裏 / 隈研吾 /★★★
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作品HP:https://kkaa.co.jp/works/architecture/zuishoji-temple/
所在地:東京都港区白金台
設計者HP:https://kkaa.co.jp/works/architecture/zuishoji-temple/
竣工年:2018
プログラム:寺院
構造様式:鉄骨造
延床面積:712.45m²
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隠元和尚によって中国より江戸時代に伝えられた禅宗、黄檗宗の端聖寺の庫裡を再建した。重要文化財である大雄宝殿から伸びる軸線に注目し、中国の寺院建築独特のデプスを強調した軸性の強い伽藍配置としてある。
軸線の南側にコの字型の一辺が開かれた回廊空間を作ることで地域に開かれることを意図している。中央の水盤にはプラットフォームが用意され、お政などをする舞台として使われる。プラットフォームと回廊とは縁を切り、水盤と切られ浮いているようなディテールとしてある。水盤の存在がより強調されるような印象となる。
様々な建築手法を試しており、失敗作も多いと言われているがこの建築物は万人受けする建築である。細く・消していく鉄骨造の和風建築はありきたりではあるが、空間としての美しさは間違いがない。
鉄骨造であるが、鉄骨は細く消されており、木建築の印象となっている。垂木の梁成が高くすることで、軒裏の梁は消されている。明治神宮ミュージアムや根津美術館など「軒裏:木毛セメント板+垂木:先細りの鉄骨」としている場合が多い隈さんの中では軒裏をこのようにしているのは珍しいのではないか。
庇端が低く、中央の池に向かって庇端を低く降ろしている。水盤からの光の反射の跳ね返りが軒裏に映される。自然の情緒を感じさせる操作、大雄宝殿との馴染み、ボリュームを低く抑える構成とすることで、負ける建築を体現しているような建築となっている。
墓地への入口は庇を軒先に向けて上げるようなジオメトリーにしており、開けているような印象となっている。また、床仕上げは回廊はモルタル+砂利仕上げ、水盤は石(又はタイル)仕上げとなっており、それぞれの空間を差異化している。
照明はModulexを採用。