不動前ハウス / 常山未央 mnm / ★★★

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作品HP:https://studio-mnm.com/projects/houseforsevenpeople/

https://shinkenchiku-data.com/articles/SK_2014_02_136-0

https://architecturephoto.net/32296/

所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3丁目12

竣工年:2013

プログラム:シェアハウス

構造様式

主体構造(既存)  1階鉄骨造 2階木造
基礎(既存)  ベタ基礎

敷地面積:105.56m2
建築面積: 77.77m2
延床面積:146.74m2

外部仕上げ

屋根 既存カラー鋼板瓦棒葺き 一部補修
外壁 一部新規モルタルの上SOP塗装(E45-90A)
開口部 一部木製サッシ新設
外構 既存コンクリート刷毛仕上げの上SOP塗装(E45-90A)
テント
フレーム 中古単管パイプ
パイプジョイント(ジョイント工業:かん太)
テント生地(ダイニック:マース,e-sheet500)

内部仕上げ

リビング
床 既存コンクリート刷毛仕上げの上EP塗装(E45-90A)
壁 既存波板の上EP塗装(E45-90A)
天井 既存デッキプレートの上EP塗装(E45-90A)
個室
床・壁・天井 構造用合板 t=12mmの上UC塗装
縁側
床 構造用合板 t=12mmの上UC塗装(E90
壁・天井 構造用合板 t=12mmの上EP塗装(E90
浴室
床 珪酸カルシウム板 t=12mmの上EP塗装(E90
壁 モザイクタイル白 25mm角
天井 構造用合板 t=12mmの上UC塗装(E90

家賃

75,000~90,000+共益費15,000

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7人が住む家
不動前駅から徒歩3分、目黒川にほど近い路地を入ると、四方を中層のビルに囲まれたアーバンヴィレッジにぽつりと取り残されたように建っている築37年の1階が鉄骨造、2階が木造の住宅を改修する計画である。7人が一つの家をシェアして住むことにより、大きなリビング、寝そべられるバスタブ、広いキッチン、緑が生い茂る庭など一人で住むのでは得がたい豊かな住空間を都心に持つことが可能になる。

リビングシェア
寝室を最小限にし、大きなリビングを確保することで、いっぺんにたくさんの人が利用でき、よりパブリックな性格をもつようになる。近隣の人が野菜をわけてくれに来たり、一画を利用してミーテイングをしたり、教室を開いたり、カフェや図書館とは違い、家に属することで個人的な要求にも対応しうる、柔軟で寛容なサードプレイスになっていく。周辺で働く人、学ぶ人をもどんどん取り込んでいけば、希薄になった地域のコミュニティを新しく育む場になる。

縁側シェア
既存の開口部には手を加えずに、外壁側にぐるりと廊下を回して寝室を配置すると、縁側のような空間が生まれる。寝室は縁側を介して採光を確保しているので、自然とそちらに生活がはみだしていく。そこには洗濯物を干してもいいし、窓辺に腰掛けて本を読んでもよい。共用部と個室の境界が曖昧になり、それぞれの住人が縁側で過ごす時間が多いほど、他の住人の生活と重なって、より開けひろげでラフな関わり合いを持つ家シェアとなる。

第一印象

入り口までの道が幅3m程度で分かりづらく、本建築物を見つけるまでに時間がかかった。外壁には蔦が茂り、外部階段・軒裏のSOP塗装が剥げており、廃墟のような印象。また、四方が中高層建築物に囲まれ、隣地の駐車場が建物に用途変更されたため、日当たりが悪くなり、暗い雰囲気の印象がぬぐえない。2階テラスの単管パイプ+テントも汚れており、工事中のような雰囲気を醸し出している。竣工から7年という時間の流れを感じるとともに、メンテンナンスの大事さを感じずにはいられない。

外からうっすら見えた内観は洗濯物などあり生活感を感じさせる。カーテンと家具によって区切られ多様なアクティビティーが期待される1階、寝室を内側にとり外廊を共用空間とした2階が気持ち良い空間になるのではないかと想像される。低コストでの妥当な平面計画・素材選定はこれを最低限として今後生かしたい。

mnmの初期の作品で、この物件をきっかけにシェアハウス・ゲストハウスの改修の仕事が増えたのではないかと想像される。施工費・立地が恵まれなかったが、その中では理に適った設計ではないだろうか。