中国でつくる 松原弘典

中国での設計事務所、独立での体験、また、中国建築に対する視座、日本人としてどう戦っていくかを書かれた本。非常にためになる。その中でも気に入った所を一部抜粋。
 
 
・どうして中国で建築をつくるか
日本人と似た顔立ちで都市化しているにも関わらず、全く日本と違う社会に興味を持ったから。それから学生時代、足繁く中国に通うようになった。「これだけ沢山の建物が建っているのに良い建築が一つもない。」と思うようになった。20世紀の建築世界の重要なマニフェストはどれも(ドミノやユニバーサルスペース)紙の上で行われている。それが実行する前に「宣言」が必要。だが、当時中国では「実現」の需要が大きく、「宣言」は少なかった。多少の失敗には目をつむって、後ろを振り向かず目の前にある課題をすれば良い。2007年には、多くの外国人建築家が来て、良い建築が沢山建つようになった。そうなると、今まで「宣言」がない分、そして「実現」が今まさに圧倒的に作られている分、今もっとも建築的「宣言」に近い場所が中国になった。
 
 
・中国で設計する中で参考になる建築家について
レーモンド:急速に変化する社会としての日本で彼なりの日本で作る戦略を発揮させていた。戦争直後の日本には恐らく、外国人だから見えること、不便な事が沢山あってそうした外国人としての視点や立場を最大限利用したから彼は沢山の作品を残せた。これは今の中国のような開放されて外国からの様々な影響を積極的に取り組もうとしている場所でも参照できる生き方である。
 
シザ:ヨーロッパの外れであるポルトガルで中国での施工管理よりも面倒な所で「新しい」建築を作っている点で大きな啓示を「中国でつくる」ことに投げかけている。建築に付随する技術とか施工精度とかに依拠するのではなく、建築そのものの興味深さ、建築空間そのものに何が出来るのかという問いが純粋に顕れているように思える。