下目黒ハウス / 室伏次郎/スタジオ アルテック / ★★★
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林詩の森公園に近くにある12戸からなるコーポラティブハウス。 建ぺい率70%と敷地に対して最大限のボリュームをとっており、屋上には専有庭がある。設備スペースと玄関は全て北側に集約し南側は広い開口があり、相互に見る見られるの関係を持ったバルコニーを南面に千鳥配置に設置している。住民相互の共同体意識を覚醒するきっかけとなることを狙っている。また、住戸はフラットとメゾネットが組み合わされており、住戸によって仕上げ・部屋面積が異なる。住人それぞれに合うように建築計画をしたのであろう。普通の建築よりもコーポラティブハウスの方が施主が多い分、手間は多くなりそうだ。
外観は際立って目立つ建築物ではないが、住むにつれて居心地が良くなってくるような建築のように感じる。子供が周りで遊んでいたのがそれを物語る。合理的な配置をしつつ、長屋を積層したような配置・南面のバルコニーなど自分の思想を試しながらやりたいことが出来ている坂口順三事務所出身のベテラン建築家の作品といったように感じた。
設計時には「長屋」をかなり意識しており、「梅屋敷ハウス」・「都市大学テラス計画」と近作3作品を長屋計画として作成している。見えることを拒否する住意識が孤絶する個の社会を生み出していることに問題提起し、個人の意思による選択性に基づいた見えることの共有がもたらす開放された精神の自由を獲得できる外部空間に変えていきたいとのこと。コーポラティブハウスということで住むことに対する一種の意識の高さを持った住人であるので狙い通りに機能することを予感させる。子供がいたらそれを中心にコミュニケーションが生まれそうな気がするが、どうなのだろうか。狙い通りになっているのかは想像することしかできないのが建築家の一種の無力さを感じる。
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作品HP:https://shinkenchiku-data.com/articles/SK_2010_02_179-0
所在地:〒153-0064 東京都目黒区下目黒4丁目21−18 テラス下目黒
設計者HP:https://www.studio-artec.net/project-1
竣工年:2009
プログラム:長屋(12戸)
構造様式:壁式RC造
敷地面積 432.14m2
建築面積 242.35m2
延床面積 935.76m2
地下1階236.78m2
階数:地下1階 地上3階
外部仕上げ:
屋根 ポリマーセメント系塗膜防水(大日化成:ビッグサン)
屋上緑化(ジャパン緑化:大林式屋上緑化工法) 断熱材+軽石敷き
外壁 コンクリート化粧型枠打ち放し セメント系珪土左官仕上げ(フッコー:ライムコート)
開口部 アルミサッシ スチールドア
外構 舗装:植生ブロック敷き 透水性アスファルト
植生:ヤマボウシ アカメモチ ノシバ
内部仕上げ:
住戸B
床 サクラフローリング タイル貼り
壁 コンクリート打ち放し 補修の上珪藻土左官仕上げ
天井 コンクリート打ち放し 補修の上珪藻土左官仕上げ
住戸C
床 アッシュフローリング亜麻仁オイル仕上げ ナラフローリング
壁 コンクリート化粧型枠打ち放し シナ合板貼りワトコオイル仕上げ
天井 コンクリート化粧型枠打ち放し コンクリート打ち放し 補修の上EP
住戸J
床 ナラフローリング
壁 コンクリート打ち放し 補修の上漆喰仕上げ(シラス中霧島壁ライト)
天井 コンクリート化粧型枠打ち放し
住戸K
床 スギフローリング タイル貼り
壁 コンクリート化粧型枠打ち放し シナ合板貼りOS
天井 コンクリート化粧型枠打ち放し