角川武蔵野ミュージアム / 隈研吾 / ★★★★★

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東所沢公園の近く、ところざわサクラタウン内にあるミュージアムは、象徴的な存在であるが、ところざわサクラタウンの外装のパキパキ感は共通しており、水盤や千人テラス等十分な引きもあるため、調和されているように感じる。

開口はほとんどなく、エントランスもなるべく小さく計画している。各階ごとのチケット制、異なるプログラムを持つ。

5階建ての巨大な多角体は圧倒的な大きさと存在感で、見る人を圧倒する。外観の分厚い割肌の石は高級感を感じさせ、潤沢な施工費が確保されたヨーロッパの大規模美術館と似たような雰囲気を感じた(個人的にはSnohettaのNorwegian National Opera and Balletのような)。61枚の三角形が組み合わせられたファサードは人工物感がなく岩が川の流れで削られたような自然な印象となる。それを実現させるのが施工精度の高さ。幾つもの辺が重なる頂点もきれいに納まっている。その施工精度を担保するのが、大工への適切な指示と正確なモデリングである。BIMを用いて正確なモデリングがされると日経Xtechにはある。Rhinoモデリングとどう違うのかは今度質問しよう。

4~5Fの本棚劇場、回廊など図書館の機能の部屋は木をふんだんに用いた内装となっている。本棚の構造材はなるべく間仕切り壁内に隠される。本棚の配置方法によって、様々なディテールが用いられる。一方、共用部は階段に貼られたアルミネットや天井を仕上げず鉄骨を見せるように、インダストリアルな雰囲気。外壁の分厚い割肌は高級感を感じずにはいられない。外部の家具にはSixInchが使われていた。

木ルーバーのイメージが印象的な隈さんと違って、石の建築。石の美術館などで外装材に石を持ちいた作品もあるが、その中でも圧倒的な規模感。

グランドオープン直後の土日ということで、人が多く賑わいを感じる。家族連れやカップルが多い印象。夏には子供が水盤に入っていたとのことだが、冬場なのでそのような子供はいなかった。

 

作品HP:石の建築「角川武蔵野ミュージアム」、隈氏のデザインを鹿島はどうやって形にしたのか | 日経クロステック(xTECH)

石の建築「角川武蔵野ミュージアム」、隈氏のデザインを鹿島はどうやって形にしたのか | 日経クロステック(xTECH)

所在地:埼玉県所沢市東所沢和田3-8-7

設計者HP:Kengo Kuma and Associates – 隈研吾建築都市設計事務所

竣工年:2020

プログラム:美術館 図書館

構造様式:鉄骨+RC

延床面積:12,000㎡

仕上げ: 外壁 : 石(割肌仕上)